お店のコト

“時間を作る”ということ



カフェがお客さんに提供しているものは、”時間”です。
料理やコーヒーではありません。
いい時間を過ごしてもらうために、
美味しいご飯やコーヒーを出しています。
いい接客も、居心地のいい空間も、
すべては”いい時間”のため。

つまり僕らは、
いい時間を過ごしてもらうにはどうすればいいか。ということを常に考えていて、
ぼくの中で、その方法のひとつが、
“時間を作る”ということだと思っています。

KAN,MAでは、お客さんに座る席を選んでもらいます。
メニューに写真は載せていません。
プリンのカラメルは別添えです。
炭酸ドリンクは、シロップが入ったグラスに、お客さんが炭酸水を注ぎます。


「どこに座ろうか?」の時間、
料理が目の前に出された時の「わあ!」の時間、
ゆっくりとプリンにカラメルをかけながら食べる時間、
シュワシュワと音を立てて炭酸水を注ぐ時間。

すべてこういった時間を作るためです。
しかもこれらは、別になくても構わない時間です。

よく飲食店は、めちゃくちゃ美味しい料理を作ろうとか、
インパクトのある見た目にしようとか、
大きなところで”いい時間”を提供しようとするのだけど、
もちろんそれも大事なのだけど、
たぶん本当は、こんな小さな時間の積み重ねが、”いい時間”を提供するために大事なのではないかと思います。


今日は雨です。
草木にしたたる雫が、いい時間を作ってくれてます。
雨によって作られた時間です。

ぜひに。